2016年10月08日

宇多田ヒカルのFantômeを聞いて思ったこと

娘が、宇多田ヒカルのアルバムをくれた。

ビックリした。

これと似たような経験は、僕が大学生の頃、つまり40年近く前に京都の山科のケンタッキー・フライド・チキンでたまたまBGMで聞いた曲、「これボサノバ?誰の曲?」って思わず聞いた「翳りゆく部屋」、荒井由美を初めて聞いた時に似ていた。そして、そのあと聞いたアルバム「ひこうき雲」を聞いてしまった時に似ていた。

その頃すでに、僕は中学生の時に聞いていたツッペリンにドはまりしていたのだし、ビートルズよりストーンズが大好きだったのだし、高校生の時にはキングクリムゾンのエピタフを聞いて、ひそかに涙を浮かべていたぐらい洋楽には精通していた。そんなときユーミンの言葉のひとつひとつがストンと身体に入ってきたのだった。


八年半ぶりたらいう、この宇多田ヒカルのアルバムを通して聴いたとき、僕はその時のことを思い出していた。

彼女がデビューした時はニューヨークに住んでいて、僕の娘も小学1年生だった。今その娘が、宇多田ヒカルの最新アルバムを聞いて感動したので、父親に聞いてみなといって僕はこのアルバムを聴く事になったのだが、ホントに素直に感動してしまった。そして、本当に久しぶりに音楽の素晴らしさを思い出した。そして、なぜ僕がそんなに音楽を好きだったのかという事も思い出した。

母親がああいった去り方をして残された彼女が、表面上は何もなかったかのように、普通に振る舞っているけれども、このアルバムに収められている、シンプルな日本語から、彼女の今まで潜り抜けてきた、そして今も戦っているのかもしれない、日々の暮らしがほとばしっているような気がした。

僕たちはひょっとしたら、歴史に遭遇しているのかもしれない。歌謡曲のそしてJ-POPといわれるその一つの頂点を極めたアルバムに今、同時代を体現できる事の素晴らしさに感謝したい気持ちでいっぱいでいる。

そして、さらにドキドキしているのが、この8年半の間に、世界中に日本の文化、ゲームやアニメ、そしてJ-POPが市民権を得ているのではないかという事だ。僕はドリカムや宇多田ヒカルまでもがアメリカのマーケットに挑戦して敗れているのを、割と近くで見ていた。前回はR&B歌手風のメイクと英語で挑んだアメリガのマーケット。その宇多田ヒカルが日本語にこだわって、作ったこのニューアルバムが今回アメリカで3位のダウンロード数であるとか、ヨーロッパで1位であるとか、アジアで1位であるとかというニュースを聞くと、この数年間でおそらく世界のマーケットが日本の文化を受け入れる土壌が出来ているという事なのではないだろうかと思った。これは誰も気づいていなかったことなのだが、マーケッターたちの予想を現実が追い越している証拠のような気がする。

日本でNO1のウタダのニューアルバムだから聞いてみるべという、世界各国にそういった若者がいるのだ、確実に。彼らは宇多田ヒカルがデビューした90年代にはまだ幼児だったはず、その彼らが今、10代20代の音楽をダウンロードして楽しんでいる中心にいる。彼らは生まれたときから、日本のゲームやアニメで日本文化で育っている。彼らにとってはビヨンセもヒカルもあまり変わりわないと考えたらどうだろうか。おそらく、この宇多田ヒカルのニューアルバムを契機に、J-POPが世界を席巻するのもそう遠い未来ではないかもしれない。そう、たぶん2020年にそれは頂点を迎えるのではないか。

なんだかわからないが、ともかく、興奮している。なんだかわからないが、ともかくこの手の未来予想で僕は今まであまり間違ったことはないのだと、改めて言っておく。僕たちは日本の音楽が世界の中で立ち位置が劇的に変わった、その歴史的な交差点に立っているのではないか、呆然として。

あの坂本九ちゃんの「上を向いてあるこう」が全米1位になったときも、すべて日本語で歌われている。そして今回のFantomも日本語にこだわって作られている。また、今回はアメリカのそして世界のマーケットなど、まったく視野に入れていなかったのではないか。それがかえってオリジナリティを際立たせている。シンプルな日本語が僕たち日本人はもちろん、世界中の人を魅了している。

しょうがない、おおぜいの人たちがこの交差点に気づいて渡ってくるまでに、さっさとわたってしまおう。
そして、2016年はJ-POPにとって歴史的な年になった。

ラベル:宇多田ヒカル
posted by すしボーイ at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 宇多田ヒカル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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